今年はいっぱい文章書くぞ!という気合いに満ち満ちている花本です。はてなのお題を活用し、この前の日曜の出来事を書きます。
太陽の塔に行ってきた
皆さんご存知太陽の塔、大阪は吹田市の万博記念公園の中にそびえ立つ超異質建造物であります。
でかぁい!!
昔福島や愛知に住んでいた頃、帰省のたび名神を使って関西を抜けていました。愛しの吹田JCTを抜けて中国自動車道に入るころ、大阪モノレールがこう、ヌッと高速に並走してきてですね、しばらく行くとエキスポランドの観覧車と太陽の塔がドーン!と見えるので、子どもの頃の私にとって、長距離移動の中のちょっとした見どころポイントであったわけなんですね。来るぞ来るぞ〜と待ち構えるような。
こういう位置関係です。It's so exciting!
そんな太陽の塔は1970年の大阪万博の際に建てられた訳ですが、あれは外から楽しむタイプのオブジェではなくて、中の展示を見るパビリオンのひとつだったと(最近まで知りませんでした)。
1970年の万博のテーマは「人類の進歩と調和」。そもそも、これを象徴するテーマ館がまさにこの「太陽の塔」でした。プロデューサーは芸術家の岡本太郎氏。
これまでも何度か希望者抽選の形での内部公開は行っていたようなのですが、大々的に一般公開されるまでの道のりは険しく、寄付金を募る形での耐震工事などの内部再生事業を経て、昨年2018年3月より内部公開開始。寄付者の先行予約期間が5月に終わったので、一般予約も取りやすくなってきた時期なのかなと思います。
2005年の愛知万博の時にちょうど愛知県民だったんですが、万博の楽しさにどハマりして会期中14回ほど通いました。先日の2025年の大阪万博開催決定のニュースはとても嬉しく、そんなトピックも私をここへ導いた要因の一つと言えるでしょう。
さて、そんな太陽の塔の内部見学ですが、前述の通り前日までの事前予約が必要。4ヶ月先まで予約できます。
https://reserve.taiyounotou-expo70.jp/reservation.php
私もそうしたんですが、土日祝でも直前までに空きが出ることがあるようなので、ご予定的にワンチャンある方はちょくちょくサイトをのぞいていると良いかも。
ちなみに内部撮影が許可されたのが2018年12月20日とかなり最近のことでして(安全性などの問題から地上階のみですが)、カメラ好きの方には是非訪れていただきたいですね。一緒の回に強そうなカメラを持ったお兄さんがいて「くぅ〜〜!私にも力があればぁ〜!!」と思いました。
メインの「生命の樹」は高さ41m。踊り場でゆっくり展示を見ては階段、を繰り返すので体力に自信がない方でもそう辛くはないかなと思います(当時はエスカレーターだったみたい)。
お年を召されたご夫婦はエレベーター使われてましたし、申請ができるはずです。
さて、いざ感想モードに入りましょう。
太陽の塔の作られた経緯や展示内容などの詳細についてはかなり掻い摘みますので、実際に行かれたり公式サイトや関連書籍を読んでいただくなりされてくださいね。
以下は個人的に感動したポイントをメインにつらつらと。
「地底の太陽」がすごい!
入り口入ってすぐ、岡本太郎氏の構想デッサンが並ぶ通路を抜けた先にお目見えするのがこの巨大な「地底の太陽」。サイドにはさまざまな国と時代の仮面が並びます(当時はかなりたくさんの数があったみたい)。
仮面と連なるようにディズニーシーの某殺人エレベーターでお馴染みシリキウトゥンドゥみたいな人形が何体もあって、正直シリキウトゥンドゥにはトラウマというか、シリキウトゥンドゥに良い印象を持っていないので、なんだかあの人形シリキウトゥンドゥみたいじゃないかと一度思ってしまうともうそれはシリキウトゥンドゥにしか見えなくて、私はそのシリキウトゥンドゥみたいな人形にシリキウトゥンドゥみたいなことをされるんじゃないかと思って一抹の不安と若干の緊張、そしてシリキウトゥンドゥを感じていました。
シリキウトゥンドゥ……名前覚えたからなァ……マァジいつかやり返してやっからなァ覚えてろよバッキャロォ……
3種類のプロジェクションマッピングがあり順番にやってるので、全部見たい方はすぐ次の部屋に移らず後列に並び直すといいですよ。全部2回ずつ見ましたが、私はこの
手形がべたん!からのどばぼだぼたば〜〜からのにょぉ〜んにょぉ〜ん!みたいなやつが一番好きでした。
人間の賢さと愚かさの象徴って感じがして。
フッ決まったァ……
美しく感じましたが、実際のところどの映像も表現的にえらく鋭利で物騒だなという雰囲気は強かったですね。子どもめちゃくちゃ怖がってたし。
人間とは決して清々しい生き物ではないぞって突きつけられてるみたいだった。
万博当時は塔の地下施設はもう少し広々していて、《いのち》《ひと》《いのり》のテーマごとにいくつかの展示があり、その中の《いのり》の空間に、地底の太陽があったようです。実はこれレプリカで、本物は行方不明になっているそう。万博終わると綺麗さっぱり何も無くなることは愛知万博の時に噛み締めたので、当時も解体してたらどっかいっちゃったんやろなあしゃあないなあという気持ちと、かの岡本太郎の大切な作品だろうちゃんと管理しときんさいよという気持ちが綯い交ぜになりました。まあでも、本物は現存しないって、ちょっとミステリアスでいいですよね。
当時この塔の展示は以下の内部テーマに空間によって分かれていました。
地下 過去:根元の世界
地上 現在:調和の世界
空中 未来:進歩の世界
根元の世界にあったというこの太陽は、1970年の日本で、一体どんな顔たちを見つめていたんだろうなぁ。
天まで伸びる、「生命の樹」
地下展示空間を抜けて案内されるのが、メイン展示である「生命の樹」の根元の部分です。
身じろぎできない、息をするのも忘れるほど、圧倒的に鮮烈な赤。
マジで口ポカーンです。唖然としちゃった。貴重な撮影OKポイントでして、はっと気づいてシャッターを切りました。ここから先は階段を上るのでカメラやスマホの類はカバンの中にしまわにゃならんのだなぁ。
生命の樹、上の写真をよく見ると三葉虫がいるのがわかるかと思うのですが、こんな感じで33種類にも及ぶ生物が這ったり乗ったりぶら下がったりしているのです。根元はこう。
アメーバちゃん!!!!単細胞(悪口ではない)!!!!
写真撮るのがへったくそだったので上の方まできちんと撮れているものがないのですが、原生類から始まったいのちのリレーが、哺乳類の時代まで上へ上へと続いていくというお話です。上に行くほど生物のサイズがでかい。重い。恐竜のブロントサウルスくんなんてこの50年一度も地上に降りたことないらしいですよ。すげえ。なんでや。
階段をえっさほいさと登りながら、彼らの無言の躍動を肌で感じます。
マンモス時代が終わると猿など我々のご先祖さまになるので、てっぺんの方になると随分生物のサイズがちっこくなります。途中のゴリラくんなんかは唯一修復せずにそのままの状態にしてあって、もともと動く仕様だった頭部の表面が朽ちてメカメカしい内部構造が見えちゃってるので、さながらターミネーターみたいでかっこよかったです。この根元から未来に向かって吹き上がる生命のエネルギー。繋がってきた命の形を表すこのオブジェの最上段にいるのは誰かというと、クロマニヨン人やネアンデルタール人でした。
ホモサピエンスじゃないんだなぁ。
……ここでこの空間が「人類の進歩と調和」というテーマで行われた万博の、まさにテーマ館であったということを思い出したいんですけれども、逆行の仕方が鮮やかすぎて涙が出そうになりますよね。
は?人類の進歩?調和?進歩したのか?お前らが?調和?調和できてるのか?お前らが?何と?
1970年の岡本太郎氏はそういう判断をしたわけですが、半世紀経った今これをみても、この樹の中にホモサピエンスは入らないような気がするんですよね。もしかすると進歩すればするほど、ガイア理論じゃないですけど、間違った方向に進むんじゃないのかって。
空中へと続く道
この後最上階にたどり着いた人々は塔の右腕部分をエスカレーターで登って、大屋根の中の最後の展示へと向かったそうです。今は右も左も道は塞がれてしまっていますが、左側部分は非常階段が残っていて、階段が暗がりの行き止まりにつーっと伸びている光景は圧巻。見所だと思います。
どんどん上に登るので、写真は一階部分しか撮れないんだけど、個人的に壮観だったのは右腕と左腕。特に左!
— 花本ほだか🔧 (@hanamotohodaka) 2019年1月13日
メカメカしくてばぁ〜〜りくそかっこいい。あれ拝みにまた行きたいもん。
太陽の塔を見学し終えた後、公園内の万博記念施設EXPO'70パビリオンに行き当時の映像や写真をみたのですが、建物も服もデザインが想像以上に近代的で、近代的だけど古くさくもあって、すごくぞくぞくしました。めちゃくちゃ衝撃的でした。
そして想像したんです。50年前の人々にとって、この万博は未来に希望しかなくて、新しいことがどんどん広がって、夢をテクノロジーが実際に実現していく魔法みたいな場所だったんじゃないかって。
私にとっての愛知万博がそうだったから。愛知万博はテーマが「自然の叡智」でしたが、結局のところ自然に神の力というか人ならざる者を見ていて、そんな自然と自分たちの生み出す文化が調和していって、もっといい時代が来るような、そういう顔をしてたような気がするんですよね。例えばそれが半ば狂乱じみた幻覚であっても、納得しちゃいそうになる空間なんすよ、万博は。
万博記念公園行った後当時の映像資料をYouTubeで漁ったんですが
— 花本ほだか🔧 (@hanamotohodaka) 2019年1月15日
50年後の未来(2020年)をテーマに作られた三菱未来館のパビリオンで
「コンピューターが仕事をするようになるので人間にはもっと休暇や自由な時間が増える。」といった内容の展示があり、なんともいえない気持ちになってしまった。 pic.twitter.com/5RlRJeg4Bz
そんな中に「象徴」と「異質」を兼ね備えたこの塔があって、凄まじい二面性だなと驚嘆したわけです。そりゃあ50年経っても残るし、残されるわ。
この塔の先、進歩の世界に何があったのか。それをその目で体感できた人たちが心底羨ましいです。単純にあんなものを見てしまったら、この先に何があったのかこの目で見てみたくてしょうがない。好奇心の問題ですね、これは。一体どんな進歩を描いていたんだろう。
それはきっと、「祈り」であったはずだと思うんですよ。
2025年も大阪で、何かに対して祈るんだろうな。
てっぺんまで登ったら見学は終わりなので、下りは階段をとんとん降りて行くのですが、途中、岡本太郎氏が残した
芸術は呪術だ。
という言葉とすれ違います。祈ることと呪うことは必ず一つですよね。「まどか☆マギカ」だってそうだったし、マイフェイバリットシンガーさだまさしさんの曲でも「世界中を幸せにと願う君と いえいっそ世界中が不幸ならと願うぼくがいる」と出てくる。
芸術が何のために機能するのかなんて、特段研究してるわけでもない私からはなんとも説明しづらいんですけど、やっぱり根本的には信仰から生まれてきているところが多いと思うわけで。その祈りの対象が神なのか、はたまた無事に海を渡って帰ってきてねなのか、色々とあるとは思うんですけれども。ニンゲンの祈りが、神の御業に近づこうとして、形になったものなのだろうと、この日1日で改めてめちゃくちゃ噛み締めてしまったわけです。
サントラ出してくれ太陽の塔
想像してたよりずっと刺激的な体験ができたこともあって、もうすでにかな〜りもう一度行きたい場所になっている太陽の塔なんですけど、関係者さまにお願いがあります。館内音楽のサントラ出してくれ。そしたらもう一回行くわ。とんでいく。
太陽の塔に行ったらぜひあわせて訪れて欲しいところ
さて、すでに5000字もお読みのところもう少々だけお付き合いください(半分はシリキウトゥンドゥなんじゃないかな)。個人的に思う、万博記念公園に入ったなら一緒に行っといて損はないよ!というポイントをおさえて終わりにしたいと思います。
- EXPO'70パビリオン
さっき出てきた記念館ですね。大阪万博のあらましがわかるので「1ミリもしら〜ん」な人はとりあえず行っとこう。中にえらいもんが隠してあるぞ。
はいここどちゃくそウルトラスペクタクルドンガラガッシャンおすすめスポット〜!!!!!!
「民族学」と聞いて少しでもときめきを感じる人間は全員行け。国立だ。行け。金カム好きな人もちょっと行っとこう。一周回って、もしかしたら全国的に爆発的なヒットになってるのに私だけが情弱で知らないんじゃないのか……?と思うくらい良施設だった。
合わせて近くの国立民族学博物館に行ったんですけど、こらあ1日ないと足りんわ〜という圧倒的展示物数に驚いた。
— 花本ほだか🔧 (@hanamotohodaka) 2019年1月13日
世界中の信仰と祈りと暮らしが一つの空間に満ち満ちてて、とてつもなく面白かった!本当すごい。
トーテムポールにしみじみ感動した〜
今日結構密度濃かったな
— 花本ほだか🔧 (@hanamotohodaka) 2019年1月13日
国立民族学博物館ま〜じおすすめなので大阪へ行かれる際はぜひ。
特に大学時代の学部の友人とかあれはもうほんとみんなに行って欲しいね。
「仮面」についてちょっと調べ事したくなりました。
あとサポーター?の方がアフリカの昔話をゴリゴリの関西弁でやってたのが良かった
具体的に言うと宗教的アイテムと民族衣装の充実ぶりがすんごかったんですよ。時間があったらもっとたくさんすんごいなと思うところ見つけられたと思う。私の心に刺さったのは「ルーマニアの陽気な墓」とかですかね……。
さて、報告以上です。今度の旅行はどこに行こうかな!!
おまけ
今日は天気も良くて万博記念公園にはたくさん家族連れがいたんだけど
— 花本ほだか🔧 (@hanamotohodaka) 2019年1月13日
父が娘に「太陽の塔に向かって何か面白いことを一言」と言ってる場面を目の当たりにして、大阪の英才教育はこのようにして……と感銘を受けた
この日の感動最高風速でした。