ほだかさんそう

花本ほだかによる総合学習はてな小屋。山小屋の「山荘」と「ほだかさん想」でかけている。

2019年の今日、ZARDがMステに出演するにあたって思うこと

2月になりました。今月もよろしくお願いします。

弊ブログ「ほだかさんそう」にて、トップアクセス数を誇るこちらの記事。 

hanamotohodaka.hatenablog.com

PV数が増えるたび、ZARDの曲に触れようとたどり着いてくださった方がこんなに来てくれたんだな〜と、なんだかとても、めちゃくちゃ嬉しくなってしまいます。ふふ。誠にありがとうございます。

さて先日、各メディアでこちらのニュースが発表されました。

natalie.mu

一報を聞いた当初は「?????????????」だったんですけど、なんとなく状況がわかってきたおたく(私)の反応がこちらです。

最新の映像技術によって泉水さんが現れるというくだりはまあ何回考えても発想が謎というか、なーに言ってるのか未だにちょっとよくわからないのですが、テレビ朝日が持ってる貴重なMステシーンの中からZARDがピックアップされて2019年の今改めてコーナー作って曲を流してもらえるのはシンプルに嬉しいな!と思いました。

泉水さん、緊張しいでテレビが苦手だったので(かわいい)ほんとに数回しか出演してないし、「負けないで」を歌ったMステが最後のテレビ出演になったんですよ。だから貴重なことには変わりないわけなんですが、そのこともあってテレ朝は昔から事あるごとにまぁ〜この映像をよく使うんです。だから何度も見たことのある映像とも言えると。

1993年2月5日。泉水さんのお誕生日が次の日だから、25歳の最後の日だったはずです。

本件については、常日頃からそれぞれ興味関心について話がつきない友人たちとのLINEグループにさっそく共有。こんな時代にMステに出てくれるなんてなんともありがたいよなあという話をしました。(ちなみに私のツイッターのアイコンを撮影されたでっちう氏もそのメンバーでZARDがお好きなんですが、私が曲を概ねわかることを知ると原付日本列島制覇でどうでしょう軍団に出会い飛んで喜ぶ軽自動車みたいな反応をされたので、やはりこの辺の世代のファンコミュニテイの難しさは深刻だなと唇を噛みました。私も超興奮した)

ところでみなさんは、既に亡くなっている人のことを好きになってしまったことはありますか?

今回の記事ではそういう話をしようと思っておりまして。

私は割とよくある方なんだと思うんです。近年だとフレディ・マーキュリーもその1人。(「ボヘミアン・ラプソディ」を見たあと私が調べたこと、それを受けて感じたことについては近々ちゃんとまとめようと思ってます。)

その方が亡くなっていなくとも、アーティストやパフォーマー、スポーツ選手などで活動を引退された後から好きになった、というのも同様の状況と言えるんじゃないかなと思います。

私がZARDをちゃんと好きになったのは2007年の12月。5月に坂井泉水さんが旅立った後の、冬のことでした。

元々「名探偵コナン」が大好きだったのでZARDの楽曲にはとても親しみがあって、亡くなったというニュースを聞いた時は残念だなと思ったんですけれども、当時はそこまで深い感情にはなっていなくて。その年、年末年始の休暇に長野にスキーに行こうということになって、福岡から長野までの長い車中、何を聴こうかなーと家族で立ち寄ったレンタルショップで出会ったCDが、活動15周年記念に出された泉水さんの生前最後のベストアルバム、『Golden Best』でした。 

Golden Best ~15th Anniversary~ (通常盤)

Golden Best ~15th Anniversary~ (通常盤)

 

ZARDのデビューからアルバムリリースまでのヒットソングをまとめたものとして非常良い作品です。加えてこのベストの最後の曲、「ハートに火をつけて」が生前最後のシングルになってしまったので、そのことが一層まとまりを強いものにしていると感じます。もちろん、意図せずでしたでしょうが。

木曽福島の国道はスキー客の車で混み合っていて、真っ白な田舎の雪道をのろのろと進む中私は携帯ゲームも飽きて眠りこけ、たまに起きては並走する中央線の線路を探し、やっぱりあんまり進んでないなと思うともう一回寝て、とそういうことを繰り返して。高速道路から聞いていた父お気に入りのフォークソングコンピCDがもう何周したかわからない頃、母が「ZARD借りたじゃん!」とCDを取り出しかけてくれたのがちゃんとした出会いです。

深みがありながらも爽やかなイントロが流れたあと、スコーンと抜けるような泉水さんの力強いハイトーン。みなさまご存知、「マイフレンド」でした。 

マイ フレンド

マイ フレンド

  • provided courtesy of iTunes

いやぁ、とっっても目が覚めました。どうやら母はDisk2からかけたんですね。

世間的にはにスラムダンクの曲なのかもしれないのですが世代的に通っていないので、単純に、音楽だけがまっすぐ刺さってくれたんです。なんて素晴らしい曲なんだ!すごくいい!!って。

子どもだったということもあってか、タイアップしてる曲は本当にコナン関連しか分かりませんでした。このアルバムの収録曲だと「揺れる想い」とかもこれがはじめましてだったはずです。実は音楽に関してはかなり偏食育ちで、幼少期にモー娘。と離れてからは思春期頃までクラシック音楽しか聴かない人間でしたしそのあと興味を持ったのがアニソンだったのでJPOPは特段疎かったのかもしれません。

さだまさしさんを好きになったのがこの前年なので、「詩」を大切にしているアーティストに惹かれるんでしょうね。ふた組は今もこれからもずっと好きで歌手部門ですっかり2強と化しており、なかなか超えてくる存在が現れません。

で、アルバム体験に話を戻すと、その日は兎にも角にももう一回、もう一回、とたくさんせがんだのを覚えています。「眠れない夜を抱いて」「心を開いて」「永遠」「もっと近くで君の横顔見ていたい」「今日はゆっくり話そう」「夏を待つ帆(セイル)のように」……この辺りが特に心を揺さぶっていて。家族みんなが飽きてもずっとかけてもらってました。歌詞をもっと知りたい。音をもっとたくさん聞きたい。どれだけのもんだったかというと、確かスキーを楽しんでホテルに帰ったあと、食事やお風呂が終わった後にZARDの音楽が聞きたいので車のキーをよこせと親に頼んで怒られた覚えがあります。

年明けの1月23日にはファンが選んだ曲が収録された「ZARD Request Best 〜beautiful memory〜」がリリースされたので、30日の自分の誕生日にはそのCDを買ってもらい、毎夜毎夜、何度も聴くようになりました。

ZARD Request Best-beautiful memory-(DVD付)

ZARD Request Best-beautiful memory-(DVD付)

 

もちろん曲がいいんですけども、なにより泉水さんの歌詞が愛しくて仕方なかったんです。大人の恋愛を歌っているのに必ずどこかに少女性があって。終わった恋に苦しんだり悲しんだり悔やんだりするのに、必ず前を向こうとする強い女性が音楽の中にいる。相手のことを想いの形を変えながらずっと愛している人がいる。

思春期にもっとも聴いていたアーティストの1人というところもあって、かなり恋愛観や人生観にも影響しているところがあるだろうなあと思います。なんだろう、誰かを愛するってこういう感情なんだよなって、根本的なところで染み込んでいるものがあるというか。フォーカスはわざとぼかしてあるんだけど、筆舌に尽くし難いリアリティがあるんだよね。

音楽をたくさん聴いて、その年の追悼コンサートの全国ツアーにも両親に頭を下げて連れて行ってもらい(これがクラシック以外の初めてのコンサート体験でした。)泉水さんがどういう人だったのかも気になったので、こういう本も読んでいました。

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久々に本棚から引っ張り出してきた。
きっと忘れない ZARD OFFICIAL BOOK

きっと忘れない ZARD OFFICIAL BOOK

 

ZARDを支えた人たちがZARD追想している本で、衣装スタッフ、レコーディングエンジニアなど、関わった人たちの瞳に映っていた泉水さんの姿が、彼らの口から語られている一冊です。

坂井泉水さんという方は知れば知るほど実は粗忽者というか、お茶目な印象のある人です。後輩や年下の方に対してはきちんとお姉さんをするんだけど、それ以上に甘え上手な人だったんじゃないかと思う。(歌詞にかなり人間が出ていたと思うから、この本とか「知ってる〜!!」みたいなノリで読んだところがたくさんあった気がする。)

真面目で。真摯的で。濃やかで。そういう人だからより可愛らしくて、もっと好きになりました。

ただその頃の私って、多分「死」ってことの本質をちゃんと知らなかったんじゃないかと思うんですよね。祖父が亡くなったのが私にとって初めて身近に「死」を感じた出来事だったんですが、そのタイミングでどういうことであるのかが分かってしまって、その後からゆるやかに、自分にすら気づかれないようにそっと、音楽も一緒に、ZARDと距離を置きました。それまでは本当に、頭の中をずっとZARDの音楽が駆け抜けていて、人生を彩っていて、好きだって思いをいろんな人に語って、頭の中のすごい容量を使っていたんですけれども、このまま加速したら大変なことになる!みたいな直感があった。そういう言い方が一番近いと思う。

私にとってZARDは、失うということを経験しなかったからこそ好きでいられるということに他ならないことに気づいてしまったんです。

これは割と最近の話ですが、「世界の果てまでイッテQ」のイモトさんが安室奈美恵さんと2ショットを撮る回について、みなさん見られましたでしょうか。あれは本当にギャラクシーものの最高な企画でした。編集もすごく良かった。雑に説明すると安室ちゃんのことが心から大好きなイモトさんが台湾のファイナルツアーチケットをかけていつも通りガムシャラに頑張って、最後にドッキリで安室さんと対面、対談するという内容。イモトさんがこれまで大変な企画があるたびに大好きな安室さんのことを心の拠り所にしていたことはかなり有名な話だと思います。引退発表の日も海外でロケをしていて、「安室ちゃんが、安室ちゃんが、引退するんですっ……」と顔をぐしゃぐしゃにして泣くイモトさんの姿だけでも胸がキュッとするのに、「安室さんがいなくなっても頑張れるのか」というスタッフの問いに、号泣しながら「だって頑張れなくなったら安室ちゃんは悲しむでしょう?」とイモトさんはアクロバット飛行に挑むんです。その姿が本当にかっこよくて。でもアクロバットする彼女の心の中がよれよれなのが外から見ていてもわかるから、それが言葉にならなくて。そんな頑張るイモトさんの安室さんへの愛が詰まった映像を、イモトさんと安室さんが並んで見るんです。安室さんの頰にも、つーっと雫が落ちるんです。あの映像は度々見直して毎回泣いてて、何度見ても喉の奥に濡れた綿が詰まったみたいな苦しさを感じるんですが、人を愛することの素晴らしさもこれでもかと感じることができます。誰かを好きになって応援する、愛する気持ちそのものが切り立った崖のように、鋭く、高く。液晶を通してそれをどかっと丸ごとぶつけられたような、凄まじい映像でした。

安室さんがイモトさんに与えたものと、イモトさんが安室さんに贈る好きって気持ちと、安室さんの好きでいてくれてありがとうって気持ちが1つの形になっていて、美しかった。

安室さんは1つの物語の完結を選んだけれど、イモトさんがそれをちゃんと受け入れて、幸せを願っているところがとても良かったんです。

推しは推せる時に推せ。

昨今様々な推しを抱えた皆さんの共通スローガンとなりつつあるこちらの一文、至言であり間違いがないです。私も同じ時代を生きている「推し」や身の回りの人間を全力で推して参れと常々考えています。

考えてしまったのは、さりとて、私は生まれる時代を間違ったのか? というところで。

可愛らしくて綺麗でお茶目な女神みたいなお姉さんのことを、どんどん好きになっている自分がいたんです。でも、メディア露出の少なさもあって、後から追いかけられる資料がとてもとても少なかった。

言葉も、肉声も、映像も、何もかもが足りなさすぎるのに、好きだって気持ちが止められない。会ったこともない人なのに。絶対なんにもわかっちゃいないのに。時代だって、少しだけすれ違っただけなのに。

あぁ、愛は理屈じゃないって、先人たちはこういうことを言ってたのかもしれないなぁと思いました。「好き」ってもっと相手のことをわかりきってからの感情だと思ってた。

私はあの人のことを勝手に大好きだけれど、私はあの人のことを何も知らない。知りようがない。少しでも捕まえたかった、分かりたかったのに、知っているのは作品だけ。歌声と、少しの吐息と。きっと全てを詩に詰め込んでくれているけれど、同じ国に生まれたから、なんとか言葉が理解できているだけな気がする。彼女が残したかった解釈をそのままで咀嚼できているかどうかなんて分からないわけです。「ボ・ラプ」でフレディが「歌は自分たちの手を離れたら聴く人たちのものだ」という発言をしていてそれに対しては共感もしたものですが、私の中のおたく心が「それじゃ不安なんだよ〜!!足りないんだよ〜!」と声を枯らすほど、喉から血が出そうなくらいに叫んでいる。

泉水さんはよく過去を振り返るし、過去の人にも愛しさを持ち続けているし、私の知っているそのままの人でいることを願っているし、人間のことを、愛と夢のことを詩に書いて残した人でした。そういう人のことを追想するには立場が弱すぎてなんだかもうセンチメンタル大爆発!!って感じになりそうだったので、止まったままのZARDの音楽を愛しながら、少しづつ私側が進んで、離れていこうとした。

けど今日みたいにこうやって、2019年の今になっても、止まっていた時計はちょっとずつ動き出していて。ふとした瞬間にダッシュで駆け寄ってしまう自分がいるんです。

それが好きだって感情なんだと思うんです。

「死」は「完成」だから、もうこれから先の未来、いままでもこれからもずっと変わらないでいてくれるはずなんです。

でも「完成」してるのに私の中に入ってくるものが年々少なくなっていくし、遠くなっていくのが悔しくて仕方がない。

そういう中でも日々ZARDが残した作品にたくさん助けられて生きている自分がいる。

だからそんなの、いつまでたってもずっと、私も死ぬまでずっと変わらず好きでいることくらいしか、対等に愛を返せる方法がないじゃないですか。

もらったものがとても大きかったから、とても対等に返していけそうにはないんだけれど、それでも……。と、無駄でも考えてしまうのです。

ところで。

今日の夜のMステ自体は仕事でリアタイできないんですけど、やることって、ちょっとこれに近いのかもなって思ったんですよね。

japanese.engadget.com

ここにあてがう日本語が「甦る」で良いものなのかは悶々と考えてしまうところですが。

謎だよね。そんな時代が来るのかな。

今回のMステ映像は泉水さんと倉木さんがデュエットできるようにするスタイルのようなのですが、過去の映像をそういう風に使って冒涜的にならんのか、など、否定的に感じ取られている方もいらっしゃるようでしたね。それもよくわかる話です。冒頭にも書きましたが私自身も解せない部分はあるので。

でもやっぱりね。今、地上波でしっかり予算をかけて映像見せてもらえることはとても嬉しいなって思うんですよ。

こうやってまた会えるって、これから先の未来にも可能性を見せて欲しいなって、そう思います。

以上!!!

支離滅裂ですがすでに亡くなっている人のことを好きになってしまって色々こじらせた人の慟哭になってしまった文章でした。

わはは!Mステ楽しみ!それに尽きる!

ZARDの楽曲は大人になってこそ味わい深い素敵な曲ばかりなので、ぜひぜひ聴いてみてくださいね。

ではまた次の記事で。

ブログ以外のあれこれはGendarme△で。花本ほだかの創作置き場です。